物件購入

所有権と借地権、それぞれの特徴と違い

家を建てよう!そう思って物件を探し始めると所有権の他に借地権という文字が目に留まる事があります。所有権ならば誰もがすぐにイメージできますが、借地権だと恐らく馴染みがなくイマイチピンとこないかもしれません。それぞれの特徴や違いはどんなものでしょうか。

所有権

所有権は物を全面的、排他的に支配する権利です。権利の行使にあたってなんらかの支障が生じた場合には、その返還、排除、予防などを請求請求する事ができます。自分のものですから「煮るなり焼くなり」好きに出来るというのが基本です。ただし、これはあくまで「動産」について事であって、「不動産」については少し事情が異なります。

動産と言うのは野菜や果物その他日用品のように移動ができるものです。スーパーでリンゴを買ってくればその後は煮て食べるなり焼いて食べるなり自由です。放置して腐らせても、誰にも何にも文句を言われる筋合いはありません。まぁ腐らせてご家族に叱られることはあっても、赤の他人に口出しされる筋合いはありません。不動産は読んで字のごとく、動かせないもの。土地やそこに強固に一体となった建物です。これらも他人の権利が及ばないなど根っこの部分では同じなのですが、思うが儘に扱えるかと言うとそれは認められない部分が出てきます。そもそも所有権は民法に規定された権利です。民法は私法の一般法と呼ばれ、日本で生きる人たちの基本法となっております。

なんだか難しい表現になってしまいましたが、簡単に考えるなら日本で生活を送るうえでの基本となる法律が民法であるとでも思ってください。すると、基本があるなら例外もある事になりますよね。それが特別法と呼ばれるものです。「特別法」とは適用対象がより特定されている法律であり、特別法がある場合はそちらが適用され、ない場合には基本通り一般法(ここでは民法)が適用されるという関係にあります。

不動産に関しては幾つかの特別法があります。その一つが建築基準法であり、次項で説明する借地借家法となります。例えば敷地に家を建てようとする場合、建築基準法の定めに従わなければなりません。煮るなり焼くなり好きにする事ができないのです。「こういう時にはこうして下さい、ああいう時にはああして下さい」という規定の範囲内でのみ自由にしたい事をしていいという事になるのです。

旧法ではその存続期間が、木造の場合に最低20年(法定30年)、マンションなどの場合には最低30年(法定60年)となっていました。

これが新法では建物構造に関係なく最低30年(これ以上の期間は自由)とされたほか、旧法であいまいだった地主からの更新拒絶の要件を、新法ではある程度明確にしています。

このように一定の制限が加わるものの土地の所有権には動産のそれにないものも認められます。それは空間的な支配権です。土地の所有権は地面だけでなく上空や地下にも及ぶのです。町を見渡せば高層マンションやビル、地下室のある住宅など溢れていますから、なんだそんな事かと思われるかもしれませんが、こうした事が民法にしっかりと規定されているのです。もちろん上空がどこまでなのか、地下がどこまでかという事については特別法などによって制限が加わるのは言うまでもありません。

借地権

建物の所有を目的とする、地上権又は土地の賃借権の事を言います。前述した借地借家法という特別法に基づくものです。ここで紛らわしいのが「賃借権」と「借地権」ですね。なんかどちらも似たような文言なので違いがわかりにくいです。ここでざっくり両者の違いを表すと「賃借権」は賃料を払って目的物を借りる権利です。賃貸借契約と言う「契約」に基づいて、その契約の範囲内で目的物を使用収益することができます。契約によって生じるのでこれは「債権」となります。この賃借権と地上権が建物の所有を目的とする場合に、それらを総称して特に「借地権」と呼ぶこととなります。ここでは建物所有というのがネックとなります。

建物はそう簡単に動かすことはできません。駐車場として利用するために土地を借りているなら「数か月後」に返してくれと言われれば、契約の内容に違反しない限り返さなければなりません。次の駐車場を探す手間はあるものの、損害という損害は生じません。しかし、家が建っているとなると、返せと言われてすぐに返せるものではありません。返すという事は家を取り壊すという事でもあるからです。もしそうせざるを得ないとしたら経済的損失は計り知れません。そこで、特に保護すべき対象として借地借家法という特別法が規定されているのです。

借地権の所有権との違いはベースとなる「地上権」あるいは「賃借権」の内容にしばられるという事です。地上権は所有権同様「物権」です。工作物または竹木を所有するためなどの目的で他人の土地を使用する権利となります。地上権を設定する際の契約がどのようなものか、その内容に従った使用収益が求められるのです。この点基本(法令等の範囲内で)思うが儘に使用収益できる所有権に比べると土地の支配権は弱いと言えます。とは言え登記によって対抗要件を得た地上権は賃借権に比べて強力です。そもそも借地権は登記によって対抗要件を備えることのできるまるで物権のようなものです。ですから、借地権のベースを地上権ほど強力な権利ではなく、賃借権に求めるケースの方が多いのです。賃借権は「賃貸借契約」に基づいて生じます。当然その契約に従う事が求められるほか、その権利を譲渡するには賃貸人の承諾が必要となります。この点自由に譲渡できる地上権との違いとなっております。

借地借家法は平成4年8月に改正されました。そのため、それ以前を「旧法」、改正後を「新法」と呼び区別しています。何故なら改正前に既に成立していた借地権は引き続き旧法の適用を受けるからです。旧法は借地権者保護の色合いが強く、底地の所有者は一度土地を貸してしまうと容易に返還してもらえない可能性のあるものでした。借地権者としては「家を建ててるんだから返せるわけないだろ」と主張するでしょうし、土地の所有者としては「貸すとは言ったけどこれほど長いとは思わなかった」という気持ちになるでしょう。どうしても土地を明け渡してほしいなら立退料をを支払わなければならない状況にもなりかねませんでした。そこで、双方の便宜をはかる為に改正したのが新法となります。新法では普通借地権・定期借地権と大きく2つに分け、さらに定期借地権は一般定期借地権・事業用借地権・建物譲渡特約付借地権に分類されています。今現在でも旧法に基づく契約が多く、この場合には旧法が適用されるという事なのです。

所有権のように全面的かつ排他的に権利を行使する事はできず、一定の制限を受けます。借りる前提となる賃貸借契約等に従いその内容に沿った使用が求められる点、地代が発生する点、それと借地借家法によるしばりがある点が異なります。そのかわり、土地の所有権を取得するよりは低コストで権利を取得し建物を建てられるというメリットがあります。法律的に言うと地上権は「物権」ですので、その権利の譲渡は自由です。対して賃借権は「債権」ですので貸主の承諾なしに譲渡などの処分をする事ができません。

所有権と借地権の違い

所有権と借地権それぞれの特徴はご理解いただけたと思います。土地の所有権なら手に入れたら一生ものです。当然相続によって子・孫と承継され得るものとなります。対して、借地権の場合では所有権に比べるとそれぞれのベースである地上権の目的や賃借権の内容による制限を受けます。また一般定期借地権なら、例えば50年という期間を定めたら、その期間が満了すると建物を壊し、更地にして返還しなければなりません。それ故、一般には所有権の方が借地権よりも取得に要する費用が高くなります。もし同じ土地の所有権と借地権が同価格ならだれもが所有権を選ぶでしょう。一定の制限がある分、借地権の方がより低額となるのは理解できますね。ですから、所有権だと予算が届かない場合でも借地権なら手が届く、あるいは思わぬ好立地に住宅を建てられる可能性があります。

所有権には固定資産税や都市計画税などの納税義務が課せられます。この点借地権の場合には納税義務はありません。あくまでその底地の所有者が納税することとなります。その代り借地権の場合は地代が発生します。賃貸借に似た権利で「使用貸借」というものがあります。これは土地を無償で貸すため借地借家法の対象とはならないのです。ですから地代がかかるものとお考え下さい。

借地権の種類

普通借地権

普通借地権は更新のできる借地権です。契約期限は決まっているが、更新することにより半永久的に借りることが可能。建物の非堅固・堅固に関わらず当初30年(当事者間の合意があれば、この期間より長く設定することも可)、更新することも可能です。更新1回目は20年、以降は10年となっています。契約満了時には、更新を拒否する正当な事由が地主側になければ、借地人の希望に基づき契約は更新されます。契約が終了した場合に借地人が建てた建物が残存している場合は、地主に建物の買取を請求できます。

旧法における性質をそのまま引き継いでおり、旧法では構造により存続期間が異なりましたが、新法では構造による期間の差異がなくなりました。

一般定期借地権

存続期間を50年以上とし、更新・建替えによる期間延長・建物買取請求権のないものです。新法により規定されました。契約終了後は更地にして返還しなければなりません。普通借地権に比べると、存続期間が経過すれば負担のない

事業用定期借地権

事業用の建物を所有する事を目的とした借地権の事。契約期間は10年以上50年未満となり公正証書による契約が必要となります。従来は10年以上20年以下となっておりましたが、2008年1月1日以降は10年以上50年未満となったのです。期間は「10年以上30年未満」または「30年以上50年未満」のどちらかとなります。このうち「10年以上30年未満」とした場合には、契約の更新(存続期間の更新)を伴わない、契約終了時に建物買取請求権が発生しない、建物再築による存続期間の延長がないことを特約する必要があります。契約終了後は更地にして返還する事となります。

建物譲渡特約付借地権

借地借家法改正によって定められたもので、設定から30年以上を経過した日に、借地上の建物を地主に相当の対価で譲渡する旨の特約が付された契約によって成立します。譲渡がなされると、この借地権は消滅します。

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