住いのメンテナンス

サイディングとモルタルの違いを比較!

かつて主流であったモルタルによる外壁の仕上げはサイディングにその主役の座を奪われ、多くの新築一戸建てにおいてサイディングが用いられるようになりました。分譲住宅の中にも依然としてモルタル仕上げのものが見られるますが、その数はわずかなものです。新築分譲住宅を購入する場合にはサイディングとモルタルの違いを気にする必要はないのですが、土地を買って注文住宅を建てる場合には気になりますよね。いずれにせよ、将来的にはメンテナンスが必要となるので、両者の違い、それぞれの特徴、メンテナンス費用などについて知っておいて損はないはずです。見た目を整え、外部環境から建物を守る外壁材は建物にとって極めて重要なものですから、それぞれの特徴をしっかり理解して下さい。

サイディングとは

外壁を仕上げる板状の建材の事で、製品として出来上がったものを躯体に取り付けるため、作業性にすぐれ、仕上がりの均一化を図ることができます。素材により幾つかの種類に分かれ、幅・厚みなどもそれぞれの製品ごとに違います。

サイディングの種類

サイディングとはもともと「羽目板」や「下見板」を示すものです。羽目板、下見板は昔から日本の建築で用いられてきました。それが現代風にアレンジされより意匠性を増し、性能も向上したものがいわゆる「サイディング」として用いられるようになったという事です。羽目板と下見板の違いは、同一平面に張るか重ねて張るかの違いです。世間一般の人が耳にするサイディングとは少し違うのですが、元祖という意味合いも込めてこれらもご説明します。

木質系

天然の木などに塗装を施した外壁材で、木の風合いが良く、断熱性に優れています。木の性質上、防火性に劣るため、消防法で防火指定のある地域などには使用できません。

羽目板(はめいた)

羽目板画像

板を平面に張っていくもの。それぞれ一方に凸、他方に凹があって、板同士をはめ込んで仕上げます。地面から垂直方向に張る「竪羽目」、地面に対して水平方向に張る「横羽目」がありますが、外壁では専ら竪羽目が用いられます。基本的には縦方向が羽目板と思っていていいと思います。

下見板(したみいた)

板をしたから重ね合わせて壁に取り付けていきます。基本的には地面と並行に重なったものが下見板です。

窯業(ようぎょう)系

セメント質と繊維質を主な原料とし、ボード状に形成した素材です。硬質で密度が高いため、耐震性や遮音性、防火性などに優れています。デザイン的な選択肢も多く、シンプルなもの、タイル調のもの、石積み調のものなど見た目的にも本物のようなものまであります。メンテナンスの目安は7~13年となります。

金属系

スチールやアルミニウムなどの、金属鋼板を成形し加工した素材です。断熱性・防火性に優れ、軽量なのが特徴です。窯業系サイディングと同様に、デザインや種類が豊富です。メンテナンスの目安は10~15年です。

ガルバリウム鋼板

アルミと亜鉛、シリコンを混ぜた材料で、高い耐久性と価格面で優れています。

アルミサイディング

他の金属製サイディングに比べても錆びにくいという特徴があります。

樹脂系

塩化ビニル樹脂を原料としたサイディングで、軽量かつ弾力性や耐久性、耐候性にも優れ、長時間使用しても色落ちや劣化の心配がありません。10~20年くらいがメンテナンスの目安です。

モルタル壁とは

ラス(網状の金物)などの上からモルタル(水・砂(細骨材)・セメントを調合したもの)を左官で塗って、その上から塗装して仕上げるものです。ラスカットボードを用いて仕上げる事もあります。設計の自由度がある反面、現場での加工が多いため、施工する側の技術・熟練度によって差異が生じる可能性があります。

コンクリートとモルタル

コンクリートとモルタルの違いはわかりずらいかもしれませんが、一言で言えば混ぜるものに違いがあるという事です。その結果強度などにも性能の差が出ます。

コンクリート

セメントに砂と砂利を混ぜ、水で練ったもの。建築物、道路、ダム、トンネルなど幅広い用途で使用され、ブロック積みの基礎や建物の土台、カーポートなど強度の必要な場所で用いられます。コンクリートは圧縮力には強いが引張力には弱いため、単体で使うよりも強度を高めるためにコンクリートの中に鉄筋を入れた鉄筋コンクリートとして使われることが多いです。

モルタル

セメントに砂を混ぜ、水で練ったもの。コンクリートほどの強度はありません。ブロックやレンガを積む時や、コンクリートの表面の仕上げなどに使います。

ノロ

セメントを水だけで練ったもの。強度はないがきめが細かい。ペースト状のセメントを刷毛(ハケ)で仕上げる事を「ノロ引き」と言います。

セメントと砂

セメントに混ぜるのは川砂の方が良いとされます。これは何を意識しているかというと「海砂」です。川の砂が良くて、海の砂が良くないというのは何故なんでしょう?一番の問題は「塩」です。海水に浸かる海砂には塩分が残ります。マンションなどではRC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造が主流となり、コンクリートと鉄筋を使用して躯体を作ります。海砂を用いるとその塩分により鉄が錆びてしったりして鉄筋にダメージを与えます。そうなると建物の強度は低下してしまいます。ですからできる事なら海砂より川砂を用いた方が良いとされます。

サイディングとモルタルの比較

ここまでサイディングとモルタルそれぞれの特徴について説明してきました。最後にそれぞれの比較をしてみましょう!

品質

サイディングは製品それぞれに性能・品質の差があるため、製品そのものの性能がすなわち壁の性能という事になります。これに対し、モルタルの場合にはその厚みや配合・施工の差によってどの家がどの程度の性能を持っているのかがわかりにくいです。より均一の性能を持つサイディングと各戸それぞれで性能の差が出るモルタルという捉え方になるでしょうか。客観的にわかりやすいと言う点でサイディングの方が安定感がありますね。建築基準法その他の法規に従って建築される以上一定以上の性能は備えているはずですので、現在建てられている建築物については一定の信頼を置いて大丈夫でしょう。新築一戸建てだとより以前より厳格化された基準法に基づき建てられ、売主の瑕疵担保責任も重くなってますので、下手な建物は作れません。加えて、住宅性能評価を取得したり、フラット35の技術基準に基づいているなどの二重、三重の制度的な担保があると考えられます。

デザイン性

最近のサイディングはかなりのバリエーションがあります。見た目的にも、性能的にもかつてよりレベルが上がっているのでデザイン性も優れていると思います。ただし、やはり画一的なイメージは拭えず、より高級感を求める人や、個性を求める人には物足りない事もあるでしょう。デザインの自由度で言えばやはりモルタルです。形、質感などいかようにでも設計できます。注文建築で思うまま(もちろん強度や法規の制限はありますが)に建てたいのならモルタルに軍配が上がるでしょうか。

コスト

標準的な建築費としては両者に差はないようです。ただし、現在のトレンドから判断するならば、コストが変わらないのならサイディングという事になるでしょうか。プレカット工法が主流となり、現場加工を失くす方向にある昨今、大工さんの技能の継承については黄色信号が点っています。パワービルダーによる短期間での施工を見るにつけ、コストパフォーマンスではサイディングの方が優れているのかなぁという印象を受けます。

耐久性

耐久性についてはどちらもさほどかわらないでしょう。窯業系のサイディングでは表面のコーティング、モルタルでは塗装の劣化によって防水機能が低下すると壁自体も劣化します。ただし、ガルバリウム鋼板だと窯業系よりも耐久性があるためメンテナンスの周期が長くなりますし、樹脂系ではメンテナンス不要とされます。

メンテナンス費用

窯業系サイディングとモルタルのリフォームについては、目地のコーキング(シーリング)工事がある分、窯業系サイディングの方が若干コストがかかります。金額としては15~20万円程度(目地の長さによる)が目安になりますが、何度か外壁塗装を行うとそれなりの金額になります。モルタル壁にはクラック(ヒビ)が入りやすいのですが、その分補修もしやすいという特徴があります。対して、サイディングにクラックが入ったり、欠損した場合には補修がしにくく、部分的に交換するにしても、その製品が生産されていない事があります。メンテナンスの周期としては両者とも変わらないのですが、目地部分のシーリングの劣化は少し早く始まっていて、場合によっては縮んで隙間が空いてしまうでしょう。そこから内部に水が入り込むかもしれませんが、サイディングの内側には防水シートが貼ってあるので、そう神経質になる必要はありません。ただし、塗り替えを怠ると窯業系サイディング、モルタル共にもろくなって、従来の強度を失ってしまいます。そうならないよう定期的にメンテナンスする事をお勧めします。

 

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