物件購入

法令上の制限について

不動産を探すために販売図面などを眺めていると小さな文字で「法制限」という項目が目に入る事があります。不動産情報サイトだと単に「制限」という項目になっているかもしれませんが、これが今回取り合上げる「法令上の制限」です。法令上の制限は不動産取引における重要事項説明の対象となります。

法令上の制限とは

法令上の制限とは何に対するものかというとそれは「土地の利用」に関してです。土地の所有者がそれぞれめいめい気ままにその土地を利用したとすると町並みは損なわれ、場合によっては他の人たちに損害を及ぼすこともありえます。閑静な住宅地のなかに突如大型車両が出入りする工場などができてしまえば、騒音によって静かな生活が壊されてしまいます。また、大きな車両が盛んに通行するようでは小さなお子さんたちが安心して家の周りで遊べません。そうした事のないよう土地の利用に関して様々な法律や法令によって制限を加え、計画的に街づくりが行われています。

土地の利用は三段階

土地の利用については「土地の購入」「宅地の造成」「建物の建築」という三つの段階が考えられます。それぞれの段階毎に異なる法律が適用されます。

土地の購入

国土利用計画法

土地の投機的取引や地価の高騰を抑制するとともに、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため定めらたもの。一定面積以上の土地取引を行ったときは、土地の権利取得者(譲受人)は契約締結日から起算して2週間以内に、土地の所在する市町村長あてに届出を行わなければなりません。事後届出制をとっておりますが、注視区域内及び監視区域内においては事前届出制となります。

届出における面積要件
  • 市街化区域・・・2,000㎡以上
  • 市街化区域を除く都市計画区域・・・5,000㎡以上
  • 都市計画区域以外の区域・・・10,000㎡以上

農地法

日本の農業生産を保護する目的で制定された法律で耕作者の農地取得の促進、その権利の保護そして土地の農業上の効率的な利用を図るための農地関係の調整などを定めています。

もしも農地を好き勝手に売買されると気づけば農業生産が低下し、食糧確保が難しくなってしまうかもしれません。そうした事がないよう制定されたものであり、農地を農地以外のものにすることを規制しています。

権利移動(農地に関する権利の設定または移転)

農地、採草放牧地について所有権を移転し、または地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借権その他の使用および収益を目的とする権利を設定または移転する場合には農地法3条の許可が必要です。

転用(自己の農地を農地以外の土地にする)

自分が所有している農地を、農地以外のものにする場合には農地法4条の許可が必要です。

転用目的権利移動(農→農以外、採→採以外にするための権利移動)

農地を農地以外、採草放牧地を採草放牧地以外(農地を除く)にするため所有権を移転し、または地上権、永小作権、質権、賃借権、使用貸借権その他の使用および収益を目的とする権利を設定または移転する場合には農地法5条の許可が必要です。

宅地の造成

都市計画法

都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする法律。

人がそれぞれ好き勝手に建物を建てたり、道路をつくったりすると、機能的な街づくりはできなくなってしまい、無秩序な街並みができあがってしまいます。こうした事のないよう一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域として「都市計画区域」を指定し、その中で計画的な街づくりが行われます。

都市計画区域

原則として市または町村の中心部を含み、一体的に整備・開発・保全する必要がある区域。都市計画区域は一つの都道府県内においては都道府県が指定します。その際関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴き、国土交通大臣に協議し同意を得なければなりません。また、二以上の都府県にわたって都市計画区域を指定する場合は国土交通大臣がこれを行います。この際事前に関係する都府県の意見を聴かなければなりません。

準都市計画区域

都市計画区域外であっても市街化しつつある場合などに、無秩序な土地利用や環境悪化を防ぐため、市町村が指定する区域です。

線引き(区域区分)

都市計画区域は必要があれば「市街化区域」と「市街化調整区域」とに区分します。このように分けることを、一般に「線引き」と呼び、こうした区分を「区域区分」と呼びます。逆にこうした線引きを行わない都市計画区域のことを「非線引き都市計画区域」と呼びます。

市街化区域

優先的かつ計画的に市街化を進める区域、つまり、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域の事。

市街化調整区域

市街化を意図的に抑制し農地や山林を残す区域。道路などの公共施設は整備されるが、原則として建築物の建造は出来ません。

地域地区

市街化区域内を土地の利用目的ごとにさらに細かく分けたもの。用途地域など。用途地域と言うのは例えば閑静な住宅地を想定した第一種低層住居専用地域や駅前の繁華街みたいに高層ビルやマンションが立ち並ぶ商業地域などを思い浮かべて下さい。住宅地にいきなり高い建物が建ってしまったら日照が妨げられたり、景観が損なわれます。そこで、建蔽率や容積率を低めに設定するとともに、高さ制限などのしばりを設定しています。反対に、駅前では地価も高く、その土地の上空を有効に利用しなければ発展しません。そこで、建蔽率や容積率を高く設定し、工場や危険物以外の商業施設などの建築が可能としています。

土地区画整理法

市街化区域内の道路や公園などの公共施設が不十分な区域において、道路・公園・上下水道などの公共施設を整備改善し宅地利用の増進をはかるため、地権者からその権利に応じて少しずつ土地を提供してもらい(減歩)、この土地を道路・公園などの公共用地が増える分に充てる他、その一部を売却し事業資金の一部に充てる「土地区画整理事業」について定めた法律。

換地

従前の土地(整理前の土地)の代わりに、これを整然とした土地に割変えて交付する整理後の土地を換地といいます。整理後の個々の宅地は、整理前の土地の位置、面積、環境、利用状況などに応じて適正に定めます。現在の土地にある所有権、地上権、借地権などは、換地先に移行します。

公共減歩

地区内に新たに設ける道路や公園などの公共施設の用地(公共用地ともいう。)は、原則として地区内の土地所有者が少しずつ土地を出し合うことによって生み出します。この新たに設ける公共施設用地に充てるため、所有者の土地が減ることを公共減歩といいます。

保留地減歩

土地区画整理の事業費は、国、県、市などの補助金や負担金でまかなわれる場合もありますが、事業費の全部又は一部を土地所有者等が負担しなければならない場合もあります。この場合は原則として、金銭で負担するのではなく、地区内の土地所有者が少しずつ土地を出しあって保留地を設け、この保留地を処分して事業費に充てます。この保留地を設けるために所有者の土地が減ることを保留地減歩といいます。

土地区画整理事業の施行者
個人

一人施行と共同施行があります。一人施行の土地区画整理事業は、宅地について所有権又は借地権を有する者、又は所有権者又は借地権者の同意を得た者(法人を含む)が一人で施行します。

共同施行の土地区画整理事業とは、宅地について所有権又は借地権を有する者、又は所有権者又は借地権者の同意を得た者が、数人共同(7名未満)で施行します。

組合

ある一定の区域を施行地区と定めて、その施行区域内の土地について所有権又は借地権を有する者(7名以上)が、土地区画整理組合を組織して施行します。

地方公共団体

都道府県又は市町村が、施行区域内の土地を施行地区とする土地区画整理事業を都市計画事業として施行します。

行政庁

国にとって重要な施設の整備や災害復興などで急施を要すると認められる場合に、国土交通大臣、都道府県知事、市町村長が施行します。

公団等

宅地の供給等を目的として、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社が施行します。

宅地造成等規制法

宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成工事規制区域として指定することができます。

がけくずれ又は土砂の流出を生ずるおそれが大きい場所(宅地造成工事規制区域)を開発する際には造成主は、工事着手前に都道府県知事の許可を受けなければなりません。

建物の建築

建築基準法

国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。用途規制、接道義務、道路について、高さ制限、防火・準防火地域など、様々な場面を想定して基準が定められています。

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