物件購入

手付金なしで住宅が買えるか?

弊社コラムには毎日割と多くの方がアクセスしてくださいます。サイトを運営するものとして、日々どのような検索キーワードでアクセスがあるのかを調べるのですが、そうした解析の結果「住宅購入 手付金が払えない」とか「住宅ローン 手付金がない」などの検索ワードで来られる方が多いのが目につきます。具体的には「頭金0円で家を買う!」というコラム記事にアクセスして下さっているのですが、そのコラム記事では最低限「手付金」は必要と結論付けています。そこで今回は手付金について、もうちょっと掘り下げてお話をしたいと思います。

手付金とは

不動産の契約を行う際には通常「手付金」が必要となります。売買価格全額の住宅ローンを組むとしても、手付金は必要となるので、少なくとも手付金分の現金は必要となるというのが基本です。不動産取引では売買契約後に住宅ローンが実行されるため、契約から決済までの一か月前後の期間、タイムラグが生じます。最終的には手付金分も住宅ローンでまかなわれるにせよ、売買契約は不動産購入における初期のステップです。これが行われない限り、次の段階には進めず、当然住宅は購入できないからです。手付金で覚えておきたいポイントを以下にまとめます。

  1. 手付解除
  2. 残代金支払時に売買代金の一部として充当
  3. ローン解除特約
  4. 手付金の額

1、手付解除

手付金は法律的には「証約手付」「違約手付」「解約手付」の三つに分類されます。このうち不動産取引では「解約手付」として扱われることが多いです。契約後何らかの理由で解約したい場合に、買主は手付の放棄、売主は手付の倍返しで契約を白紙に戻す事ができます。手付の倍返しというのは、手付金を返しただけだと、買主だけがリスクを負う事となるため、預かった手付金を返すだけではなく、同額をプラスして買主に引き渡すという事です。

2、残代金支払時に売買代金の一部として充当

手付金は厳密には売買代金の一部ではありません。買主の購入意思が強いという事を売主に示し、不動産取引の安定を図るために、一時的に買主から売主に預けるものです。それを引渡時に一旦返して、再度支払うというのは非合理的なので、残代金支払時に売買代金の一部として充当すると契約書で定めてるのです。

3、ローン解除特約

住宅ローンを利用するする場合、審査が通らないか通っても売買代金の一部しか承認されない場合に、それでも契約したから必ず購入しなければならないとすると買主のリスクが大きすぎます。審査が通らなければそもそも高額な売買代金を用意できるはずもないのですぐに理解できますが、一部なら、ちょっと頑張れば大丈夫じゃないか?と考えてしまうかもしれません。ところが、不動産価格はやはり高額であるため、例え価格の1割だとしても数百万円単位になる事がざらです。そうした金額を短期に用意するのは現実的には難しいため、「全部または一部が承認されない場合」には契約を解除できる旨を定めます。これをローン解除あるいはローン特約と呼びます。この場合手付金は無利息で返還されるのが一般的です。

ローン特約では解除できる期間も併せて定められることが多い点注意が必要です。契約締結後、速やかに金融機関とのやり取りを開始しないといけません。不動産業者の営業マンが段取りを整えてくれますが、ネットバンクを利用するなど、ご自分で手続きをする際には十分気を付けて下さい。

万が一期間内に結論が出ない恐れが出てきた場合には、期間の変更合意書をくみかわす等、しかるべき対処が必要となります。契約後のタイムスケジュールはタイトです。ですから、いつまでにどこまでのステップに進むのか、頭に入れておいてください。通常は仲介業者が適宜アナウンスしてくれますので、そのアナウンスに従って手続きを進めます。

ローン特約は買主保護の側面があるので、契約時にしっかりと内容を確認するようにしてください。

4、手付金の額

宅建業者が売主の場合は、手付金の額は「売買価格の20%」以内と上限が定められています。5~10%程度が一般的でしょうか。とは言え、これはあくまで契約当事者間の問題でありますので、個別にきちんと確認しなければなりません。
まず、手付金が少なすぎれば、売主側が難色を示す可能性があります。かと言って、上限の20%となると、結構な金額となります。購入の意思が固いものの、提示された手付金が高額なため、契約できない場合には交渉の余地ありです!要は安易な気持ちで購入を申し込んだのではないと相手に伝わればいいのです。例えば100万円必要な所を50万円やそれ以下でも了承してくれることもあります。ただし、手付金は後々解約する際のある種のペナルティとしての役割を持ち、少なければそれだけ買主による解約のリスクが高まるという事は肝に銘じて下さい。

売主が業者である場合、契約後手付解除されるのはとても嫌な事です。それはそのまま会社の損失となるためです。それゆえ、それぞれの会社には「手付金は最低いくら以上」というような社内規定が定められている事もあります。そうした事を覆すためには、購入に対する意志の固さや動機の強さを伝えなければならないのです。

何故手付金が必要なのか

手付金は「契約成立の証拠金」としての性質を持つとされます。これはどういう事かと言うと、お互い真剣に考え、契約に至ったという事、そして安易に撤回するようなことはせず、しっかり義務を履行していくという姿勢を相互に示しています。

手付金は買主が売主に渡すものですが、いざ売主が手付解除する際には倍返しするという事で、同じ責任を負っているのです。日用品ではないのですから、「やっぱや~めた~」では済まされない、それほど重大だという事なのです。

ではそもそも何故手付金が必要なのか。以下をご覧ください

  1. 購入意思の表示から代金支払いまでにある程度の期間がかかる
  2. 取引の安全のため、相互に解約する権利を持つ

1、購入意思の表示から代金支払いまでに期間がかかる

不動産は他の買い物とは違い、意思表示から代金支払い・引渡しまでにある程度の期間が必要となります。多くの場合住宅ローンを利用しますので、その手続きに1ヶ月前後はかかります。また、現金の場合でも、対象物の現状確認、法律的な諸手続きの準備、残金決済を行う金融機関のスペース確保等々、それなりの準備期間が必要となります。

その間買主・売主は準備に時間を費やしたり、コストをかけたりするわけで、それを安易に撤回されるとそれぞれ大小の損害を被ってしまいます。不動産と言う替わりの見つかりにくいものですから、「やっぱや~めた」と気軽に解約されてはたまらないわけです。

これは売主においてより切実です。そもそも、売主は1週間、2週間ペンディングするだけでも負担となります。その期間の集客の可能性が失われたのが一つ、利息の支払いなど現実的なコスト増が一つ。その損害は小さくはありません。それゆえ、お互いの本気度を示す意味も込めて、手付金が必要とされます。反対に、親戚や知人同士など、相互に信頼関係がある場合には、手付金なしで契約する事もあります。

2、取引の安全のため、相互に解約する権利を持つ

売買契約の後、なんらかの事情で契約を解除したい場合に、手付金分だけの損失で済みます。相互に損害を被ったとしても、手付金以上の賠償は求められないため、不測の損害を被る事もありません。

手付金は契約への本気度を示すものでもあり、その分を諦めれば契約を白紙に戻せるという、契約当事者の取引の安全を確保するための慣習でもあるのです。だからこそ、少なすぎれば本気度が伝わらず、多すぎればリスクが高すぎるという事で、「ほどほど」というか妥当な金額で設定する事が求められるわけですね。

注意して頂きたいのは、契約後いつまででも手付解除できるわけではありません。相手方が「履行に着手」してしまうと、手付相当金額の支払いだけでは解除できなくなります。ここで問題となるのが「履行の着手」です。

判例では「客観的に外部から認識できるような形で、契約の履行行為の一部をなしたこと、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をしたこと」とされますが、明確に規定されれているわけではありませんので、後日紛争に発展する可能性もあります。相手が履行に着手したにも関わらず、正当な理由なく解除すれば債務不履行による損害賠償責任を負うことになってしまいますのでご注意ください。逆に、自分が履行に着手しても相手方が履行に着手していなければ手付解除はできます。

損害賠償額の予定・違約金

売買契約では損害賠償額の予定または違約金について定める事ができます。損害賠償額の予定は、当事者の一方が債務を履行しない場合に、予め定めた損害賠償額を、なんら証明する事なく受け取る事ができます。実際の損害が多かろうと少なかろうと、裁判で争わずとも予定された金額を請求できます。
違約金は、債務不履行が発生した場合に、義務を履行しなかった者が支払うことを約束した金銭。違約罰としての性格を持ち、損害賠償額の予定と内容的には変わりません。宅地建物取引業法では宅地建物取引業者が売主で、宅地建物取引業者以外の者が買主である場合には、損害賠償の予定額と違約金とを合算した額が売買金額の20%を超えてはならないものと規定しています。

新築一戸建てを購入する場合には損害賠償額の予定が定められるのが通常ですが、契約の際にはきちんと確認しておきましょう。損害賠償額の予定(あるいは違約金)が定められているかどうか、その金額はどれくらいになるのか。

手付金なしで家が買えるか?

これに対してはやはり「NO」です。形はなんであれ用意しなければならないでしょう。途中書きましたが、契約相手との関係性によっては必要なしとされる可能性はありますが、ほとんどの場合期待しない方がよいです。

親・親戚に一時的に借りるなり、相手方と交渉してできる限り少ない金額に設定したりする努力が必要となります。こうした場合には仲介業者も相談に乗ってくれるはずです。営業マンに購入意思が固い事を伝え、その営業マンに手付金を抑える交渉をしてもらう。

この場合に絶対してはいけないのが、手付金を用意するために消費者金融などで借り入れを行う事です。それをしてしまうと、本丸とも言える住宅ローンが通らなくなってしまいます。それでは本末転倒ですからね。それならば、ちょっと時期をずらして、手付金を貯めてから再度チャレンジした方が遥かにマシですからね。

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