不動産市場

住宅性能表示制度

住宅性能表示制度とは「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(略して「品確法」と呼ぶ)に基づく制度で様々な住宅の性能をわかりやすく表示する事を目的とします。ハウスメーカーの中にはこの制度を積極的に利用し、耐震等級などの等級を表示して性能を積極的にアピールしているところも見られるようになりました。また、フラット35などの技術基準としてこの制度による等級を表示したりもしています。

品確法は三つの柱で構成されます。

1、新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間を「10年間義務化」すること
2、様々な住宅の性能をわかりやすく表示する「住宅性能表示制度」を制定すること

3、トラブルを迅速に解決するための「指定住宅紛争処理機関」を整備すること

品確法の目玉はなんと言っても売主の瑕疵担保責任を10年に引き伸ばし、より重い責任を課した事にあります。瑕疵担保責任については「売主の瑕疵担保責任と宅建業者の瑕疵担保責任」をご覧いただければよくおわかりいただけるかと思いますが、新築建物の基本構造部分に欠陥があった場合の宅建業者の瑕疵担保責任を2年から10年に延ばす事で買い手を保護し、不動産取引の安定と、安心して暮らせる住いの実現を図ったのです。そして、この責任をしっかりと果たすようにその後「住宅瑕疵担保履行法」が制定され、万一の時でも買い手が保護されるような仕組みを作り上げました。品確法は、建築に詳しくない一般の人がまずは重大な欠陥から守られるように瑕疵担保責任をより重いものとし、次に万人にわかりやすい建物の「通信簿」をつける事で、購入を判断するための材料の一つとなりうる基準を設けたのだと思います。

一般の人にわかりやすい目安を

第三者機関が住宅に対して評価を下す事によって誰の目にもわかる基準を設け、それぞれの住宅について客観的に判断することができるようになりました。

評価は10の項目について等級をつけて行われます

耐震性については1~3までの等級があります。1から2、2から3に上がるにつれより耐震性が高いという事になります。耐震等級3が最高等級になるので、地震が心配ならば「耐震等級3」の住宅を選ぶといいでしょう。まさに、誰にでもわかる判断基準と言えます。

住宅性能表示制度は任意

住宅性能表示制度は義務ではなくあくまで任意となります。これを利用するかどうかはそれぞれの立場で異なりますが、売り手としてはそれぞれの項目で高い等級を取得すれば性能をアピールできますし、販売活動において有利になるはずです。買い手としては、専門的な知識がなくても、より等級の高いものを選ぶと言う積極的な選択ができるようになります。

2種類の性能評価書

性能評価は設計段階(設計住宅性能評価)と建設工事・完成段階(建設住宅性能評価)の二段階で行われ、設計から完成に至るまで通常4回の検査を行い、求められている性能どおりに設計がなされ、また評価を受けた設計どおりに工事が進められているかどうかをチェックします。

設計段階で取得するものを「設計住宅性能評価書」、建設・完成後に取得するものを「建設住宅性能評価書」
と呼びます。

住宅性能評価書その他のメリット

住宅性能評価は客観的な等級で性能を表示するので、広く万人にわかりやすい判断基準を提供します。また、その結果として以下のようなメリットが受けられます。

指定住宅紛争処理機関を利用できる

建設住宅性能評価」を受けると、後日住宅の請負契約又は売買契約に関連するトラブルが起きた場合に、「指定住宅紛争処理機関」が迅速・公正に対応してくれます。

住宅ローンの優遇や保険料の割引を受けられる

民間金融機関や公共団体の住宅ローンの優遇を受けられたり、地震に対する強さの程度に応じた地震保険料の割引など受けられます。

フラット35を利用しやすい

住宅性能表示制度を利用した新築住宅で、一定の要件を満たすものについては、住宅金融支援機構提携フラット35に係る手続きの簡素化等を受ける事ができます。

住宅性能評価における等級

住宅性能評価は10の項目についてその性能を等級で表します。等級1、等級2、等級3と数字が大きくなるにつれてより性能が高いことを示します。建築基準法にもともと定められている性能項目については、最低等級である等級1は建築基準法程度の性能として設定されています。

1. 地震などに対する強さ(構造の安定)

地震などが起きた時の倒壊のしにくさや損傷の受けにくさを評価します。等級が高いほど地震などに対して強いことを意味します。等級1でも、建築基準法を満たす住宅なので、大地震が起きても倒れてしまうことはまずありませんが、性能表示制度を使うと、評価機関が建築工事を検査するので、ミスや手抜き工事の防止に役立ちます。強風や大雪に対する強さに関する評価もあります。

2. 火災に対する安全性(火災時の安全)

住宅の中で火事が起きたときに、安全に避難できるための燃え広がりにくさや避難のしやすさ、隣の住宅が火事のときの延焼のしにくさなどを評価します。

  • 人命や身体が守られること
  • 財産が守られること

上記二つの目標を達成するために、出火を防止し、安全に非難・脱出できる事、そして燃え広がらないよう建物を作る建材が火に強い事などを評価します。

3. 柱や土台などの耐久性(劣化の軽減)

年月が経っても土台や柱があまり傷まないようにするための対策がどの程度されているかを評価します。等級が高いほど柱や土台などの耐久性が高いことを意味します。木造の場合は主に土台や柱が腐らないようにするための対策、鉄筋コンクリート造の場合は主に柱や梁のコンクリートがもろくならないための対策、鉄骨造の場合は主に鉄の部分が錆びにくくする対策を評価します。

4. 配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策(維持管理・更新への配慮)

水道管やガス管、排水管といった配管類は一般に構造躯体の修繕などを実施するよりも早く取り替える必要があります。そこで配管の点検や清掃のしやすさ、万一故障した場合の補修のしやすさなどを評価します。等級が高いほど配管の清掃や補修がしやすいことを意味します。

また、共同住宅等については、排水管が寿命となった際、新しい排水管に更新する工事のしやすさや間取り変更のしやすさの情報として、躯体の天井高等の評価、表示もします。

新築一戸建て住宅ではキッチンの床下収納庫を設けるのが当たり前の事となりました。床下収納庫は取り外すと床下をのぞき見る事ができ、修繕が必要な時はそこから床下に入り込むことができます。床下の点検口を兼ねるものとして設置するようになりました。浴室や洗面室にもこうした収納庫を設ける事が増えました。

5. 省エネルギー対策(温熱環境)

暖房や冷房を効率的に行うために、壁や窓の断熱などがどの程度されているかを評価します。等級が高いほど省エネルギー性に優れていることを意味します。

6. シックハウス対策・換気(空気環境)

接着剤等を使用している建材から発散するホルムアルデヒドがシックハウスの原因のひとつとされているため、接着剤を使用している建材などの使用状況を評価します。

建築工事が完了した時点で、空気中のホルムアルデヒド等の化学物質の濃度などを測定することも可能です(ただし、測定はオプションです)。また、住宅の中で健康に暮らすためには適切な換気が必要なので、どのような換気設備が整えられているかについても評価します。

ある一時期から「低ホルム」「ノンホルム」という言葉を耳にするようになりました。この「ホルム」と言うのがホルムアルデヒドの事で、ノンホルムならノン(=まったく含まれない)ホルム(ホルムアルデヒド)という意味です。今は新築でもリフォームでもF☆☆☆☆(フォースター)の建材を使用しなければなりません。F☆☆☆☆はGIS(日本工業規格)が定めたホルムアルデヒド等級の最上位規格になります。シックハウスなどの被害が心配されるのはどちらかというと古い建物ですね。

7. 窓の面積(光・視環境)

東西南北及び上方の5方向について、窓がどのくらいの大きさで設けられているのかを評価します。

8. 遮音対策(音環境)

主に共同住宅の場合の評価項目で、上の住戸からの音や下の住戸への音、隣の住戸への音などについて、その伝わりにくさを評価します(この評価項目はオプションです)。

9. 高齢者や障害者への配慮

高齢者や障害者などが暮らしやすいよう、出入り口の段差をなくしたり階段の勾配を緩くしたりというような配慮がどの程度されているかを評価します。高齢者に対応する言葉としてはかつては「バリアフリー」という言葉が一般的でした。今は「全ての人のため」を表すユニバーサルデザインという言葉が用いられるようになってきました。

10. 防犯対策

外部開口部(ドアや窓など)について、防犯上有効な建物部品や雨戸等が設置されているかの侵入防止対策を評価します。

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