不動産市場

認知症と不動産売買契約

高齢化の進む我が国ではそれに対応した制度が採用されています。
不動産売買においては認知症患者の権利保護のために、
成年後見制度があります。

成年後見制度

知的障害,精神障害,認知症などにより行為能力が十分でない人の法律行為を保護・援助する後見人を決める制度。すでに精神障害がある場合に決める法定後見制度と,意思能力があると認められた身体障害者や体の自由がきかない高齢者が能力が衰える前に後見人を決める任意後見制度があり,申し立てを受けた家庭裁判所が審判を行います。

認知症と法律行為

認知症は人それぞれ症状や程度が異なります。
「まだらぼけ」と呼ばれるような意思が明瞭な時とそうでない時が存在する事もあれば、
ほぼ意思能力を欠く状態が続く事もあります。
法律行為を行うためには行為の結果を判断できる精神状態にあることが必要とされるため、
認知症を発症している方が不動産取引を行ってもその契約が無効になってしまう可能性があります。

もし身内の方が認知症である時には成年後見制度を利用し、
成年後見人の選任をした上で契約を結ばないと、
あとから大変なトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。

法定後見制度の利用

ご親族が認知症の場合にその不動産を売却する時は、
法定後見制度を利用するようにしましょう。
状態に応じて以下の三つの制度が利用できます。

  • 後見-ほとんど判断することができない場合(成年後見人選定)
  • 保佐-判断能力が著しく不十分である(保佐人選定)
  • 補助-判断能力が不十分である(補助人)

上記成年後見人、保佐人、補助人の権限はそれぞれ異なりますが、
それは認知症を発症した方本人の状態、能力に応じて、
出来る限り本人の残存能力を尊重するためです。
申立ができる人は、本人・配偶者・4親等内の親族などとなっております。

家庭裁判所による審判

上記制度を利用するには本人の住所地の家庭裁判所に
後見等の開始の申し立て行います。
家庭裁判所は調査、審問、鑑定などを行い審判を行います。
この審判には1ヶ月かそれ以上かかるようです。

居住用財産の処分に対する裁判所の許可

対象となる不動産が居住用である場合には、
処分に当たって家庭裁判所の許可が必要となります。
入院費が捻出できないなどのやむを得ない事情がある場合に許可されるため、
実務上では果たして売却できるかどうかはその許可が下りるかどうかにかかっています。
こうした手続きについても一ヶ月前後の期間が必要である事を覚えておいてください。

不動産売却の流れ

認知症の親族が所有する不動産を売却する場合には、
最低2ヶ月前後の期間が必要となります。
以下に流れを書きます。

  1. 後見等開始の申し立て
  2. 審判(成年後見人等の選任、期間約1ヶ月)
  3. 不動産業者とのやりとり(売却依頼、売り出し、*契約)
  4. 家庭裁判所の許可(居住用財産の場合で約1ヶ月前後かかります)
  5. 決済・所有権移転登記

*契約は成年後見人が代理して行います。
急いで不動産を処分したい場合でも、
上記手続きを経る必要があるため最低でも2ヶ月はかかってしまいます。
もちろん売り出しをしてすぐに買主が見つかればいいのですが、
通常は数ヶ月かかりますので2ヶ月以上まるまるかかると思っておけばいいでしょう。

ましてや、取得するために通常よりも期間を要するため、
すぐにでも引越ししたい人にとってはそれが障害となってしまい、
買い手を見つけるにも多少の困難を伴います。

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診断の有無

成年後見制度を利用すべきかどうかの判断は、
医師の診断の有無となります。
認知症の診断が下されている場合には、
制度を利用しなければなりません。

では診断がなければ上記制度を利用しないでいいかというと、
そうではありません。
司法書士さんなどの法律家と面接を行い、
意思能力の有無を確認した上で、
必要ならば上記制度を利用し、
大丈夫ならばそのまま手続きを進めます。

成年後見制度は法で定めらものであり、
法を遵守する事は相手のみならずご自分たちも保護する事になります。

認知症には被害妄想の症状が出る事があります。
財産を処分した後に「息子が勝手に家を売った」
と大騒ぎする事も考えられます。
そうなると大変な問題が後から持ち上がってしまうでしょう。
そうならないためにもきちんとした手順を踏む必要があるという事なのです。

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