住いのメンテナンス

住いを長持ちさせる6の秘訣

「住み慣れたわが家に長く住みたい」そう思うものです。ではどうしたら住いを長持ちさせる事ができるのでしょうか。知っておくと10の秘訣をお教えします。

各所の空気を入れ替える

通気は建物を長持ちさせる秘訣の第一です。空き家は傷みやすいと言いますが、人の出入りがなくて通気が行われない事が大きな原因と考えられます。通気は住いの環境を整え、良好に保つために不可欠です。通気が悪く、換気も行わないならば、室内の湿気で建材が痛み、建物の寿命を短くしてしまいます。また、よどんだ空気ではカビや菌が繁殖し、室内でカビが生えたり、物が腐りやすくなってしまいます。カビは衛生上にもよくありませんし、通気についてはしっかりと対策を講じなければなりません。

床下通気

かつては基礎に通気口を設けるやり方が主流でしたが、現在では基礎パッキン工法にシフトしています。基礎パッキン工法は基礎と土台の間に通気性のあるパッキンを挟む事で、かつては数箇所にしか設ける事のなかった通気口が、基礎の全周で行えるようになったのです。これによって床下の通気環境はよくなったと言われます。また、ベタ基礎による建築が一般化したため、床下が湿気でかび臭くなるような事も起こりにくくなりました。

問題は床下を覗くと土が見える場合です。布基礎のように部分的にコンクリートを打つ基礎では床下の空間に地面が見えてしまいます。湿った土が湿気を生みカビが繁殖していしまいます。押入れの床が腐ってしまったりカビが生えるのは床下の湿気が原因です。床下換気扇を設置して通気したり、砂を撒き除湿シートを敷き詰めるなどの方法である程度改善できます。

基礎から土台にかけては住いにとって極めて重要な箇所である事はいうまでもありません。床下の湿気で木材が腐れば、建物の強度が落ちてしまいます。また、土中を移動するシロアリの食害を受ける可能性があります。ベタ基礎ならばそうしたシロアリの侵入は考えにくいのですが、布基礎の場合には土の中を移動してくるシロアリの侵入は十分考えられます。湿気対策と共にシロアリ対策も必要でしょう。シロアリ用の薬剤がホームセンターなどでも売ってますので、基礎の外周に沿って土中に散布するなどしてみましょう。実際に食害が見られた場合には専門家を呼んで相談してみたほうがいいでしょうね。シロアリの駆除、そして食害によるリフォームなど必要かもしれません。

居室通気

今の新築一戸建てだと24時間換気システムによって知らない間に換気してくれます。24時間換気システムがないお宅では窓を開け、換気扇を回すことで居室の換気ができます。長時間窓を開けていられるのなら窓を開けるだけでも十分ですが、短時間しか開放できないのなら換気扇を回すと効果的です。窓は一箇所だけ開けても通気しませんので、必ず複数個所開けましょう。冬場石油ストーブなどを使うと室内はかなりの湿度となります。換気を怠ると結露が生じ、建物を傷めます。寒くても時々は換気をして室内の空気を入れ替えると室内の湿度は下がり、結露を抑制できます。

浴室

浴室は湿気の多いところです。使用後水を抜き、タオルなどで拭いておくと、湿気がこもりにくくなります。そして、浴室の窓を開け、できれば換気扇をしばらく回しておきます。浴室はカビの温床となりやすい場所です。ユニットバスだとユニットの天井など日頃あまり手をつけないところに潜んでいる事があります。見える部分はキレイでも、見えない部分でひっそりと息を潜めていて、梅雨になると胞子を飛ばしてそこからカビが広がっていきます。

換気扇を回しっぱなしにすると確かに浴室の湿度は下がります。ただ、換気扇の寿命が短くなり、結構早い段階でガラガラ音を立てるようになってしまうでしょう。音が気にならないならそのまま数年使えますが、いずれは交換が必要になります。多少コストがかかってもしょうがないと割り切って使うのか、交換費用や電気代を節約する方がいいと考えるのか、人それぞれだと思いますが、浴槽に水を入れっぱなしにしておいてはいくら換気扇を回しても意味がありませんので、使用後は必ず水を抜き、水滴などをふき取るとるようにしましょう。これだけでも随分違います。それと、換気扇のカバーは時々取り外して、換気扇の中も掃除しましょう。換気扇がホコリやらカビやらで詰まってしまうと換気能力が低下してしまいますし、ここがカビの発生源にもなりかねません。

湿気対策(押入れなどの湿気がこもる箇所)

通気の項と被りますがここでは積極的に湿気を減らす努力をする事が住いを長持ちさせる秘訣の第二番目とします。湿度が高いと、建物にとって良い事は一つもありません。ほどよい湿度を保つためにどうすればいいのかを考えてみましょう。

除湿

湿気を取り除くのに有効とされるアイテムを使ってみる。備長炭には除湿効果があるので、湿気のこもりやすい場所に置いててみる。ホームセンターに行けば備長炭がらみの除湿材、あるいは除湿シートが売っています。押入れ、収納などで使ってみましょう。ただし、これはあくまで通気が前提となります。除湿には限界があるので、空気を入れ替えず除湿材のキャパを超えてしまえば全く意味がありません。

調湿

調湿は湿気を吸引するだけでなく、乾燥時には内包する湿気を放出して湿度を調整する事をいいます。実は昔ながらの日本の家は調湿機能を持つ建材を至る所で使っていました。わかりやすいところで言えば土壁です。これらはいかにも水分を吸ったり吐いたりしそうではありませんか。漆喰や珪藻土などにもこうした調湿効果がある事がわかっています。その他畳や襖、障子などにも若干の調湿効果があるようです。ところで最近は和室よりも洋室の方が好まれるので、こうした日本古来の建材が用いられなくなりました。そもそも湿気の多い我が国では隙間の多い木造建築に、上記調湿効果のある建材を用いて室内の湿度を調整していました。換気を心がけなくても隙間から自然と換気ができ、土壁が湿気を吸ったり吐いたりして湿度を調整してくれたわけですね。機密性の高い現在の住宅、調湿効果のある建材の不使用で、このやっかいな湿気が大きな悩みの種となってしまいました。

そこで、洋間にもおかしくない珪藻土やエコカラットなどが注目を浴びるようになりました。珪藻土は内装で用いればとても高級感に溢れ、かつスタイリッシュな雰囲気を作りだせます。居室の内壁全体で使わなくてもアクセントで一面だけ使えばデザイン性も向上しますしコストも抑えられます。その珪藻土を超える調湿機能を持つのがエコカラットです。キッチン周りなどに用いればその効果は体感できるほどです。LIXILのショールームには喫煙所があるのですが、その部屋の壁にはエコカラットが用いられ、換気扇を回すだけでまったくタバコのにおいがしません。

珪藻土やエコカラットは水分だけでなく匂いや有害物質も吸着します。そのためペットを飼っているおうちでは消臭効果を発揮し、匂いを抑えます。そして、かつて接着剤等に用いられていたホルムアルデヒドのような揮発性有機化合物を吸引し、シックハウス対策としても効果が期待できます。

ただ、ここでも通気が前提ですので、まずは通気・換気、そのプラスαとして調湿という捉え方をしましょう。

掃除、家具の配置換え、家をすっきりさせる

家を清潔に保つ事。これが住いを長持ちさせる秘訣第三です。それと併せて家具を時々移動してあげると、尚いいでしょう。住いを劣化させる直接の原因はカビ、サビ、腐食です。これらが「水」あるいは「湿気」によって発生し、建物を傷ませます。カビ、サビの発生のメカニズムについては「侘びサビ、カビン、はげちょびん~錆(サビ)とカビのお話~」をご覧いただけばおわかりいただけるでしょう。通気、換気で湿度を下げれば、こうしたものの発生を抑制できるのでしたね。あとは生活していると自然に発生する人間の老廃物などがカビや菌の栄養源となるので、それを取り除けば理屈上カビは発生しなくなります。目に見えないものですから空気中には胞子が漂っているのですが、それが増殖しなければいいのです。よどんだ空気もカビの発生につながるため、家具の裏側にも通気が必要です。そこで家具を移動して部屋の模様替えをしてみるのです。気分転換にいかがでしょうか。忙しくて模様替えまではできないとならば、家具を少し壁から離してうちわであおいでみるだけでも違うでしょう。

耐用年数に応じたメンテナンスをする

住いを長持ちさせる秘訣第四は「耐用年数に応じたメンテナンスをする」です。住いのメンテナンスを考える時、覚えておいていただきたいのが各部の耐用年数がそれぞれ異なると言う事です。理想的なメンテナンスは「劣化を防ぐ」メンテナンスです。耐用年数を超え劣化が始まるとそれは加速する傾向があり、一度機能を失ったらそれを回復するのは容易ではありません。表面的な仕上げ材についてはある程度の費用はかかるものの、リフォームで復旧することができます。しかし、建物内部で生じた劣化は、手を出せないあるいは手の施しようのない事があるのです。内部が傷むと建物の強度が下がり、住いの安心を脅かします。そうならないよう、耐用年数に応じた適切な時期、適切な処置が求められます。

メンテナンスの目安

では一般的なメンテナンス時期の目安をご覧下さい

木部・鉄部塗装

2~4年。木部塗装というのは木でできた箇所の塗装です。室内では木枠、窓枠、周り縁など。外部では破風板、木製面格子、窓枠、木製戸袋、濡れ縁など。鉄部塗装というのは鉄でできた箇所の塗装です。室内ではそれほど見当たりませんが、玄関扉、枠などです。外部ではベランダ、鉄格子、霧除け、トタン屋根、水切りなど。木部・鉄部の塗り替え周期は短く、外壁塗装を行うまでに2~3回程度行っておくことが理想です。塗装は色をつけて外観を整えるとともに、素地を水から保護する役割を果たします。塗装が劣化し水と触れてしまうと、木は腐り、鉄は錆びてしまいます。どちらも劣化によって強度が落ちてしまい、建材としての機能が大きく失われてしまいます。

カーペット

6~9年。カーペットは古くなると埃や汚れなどを吸い込み、あるいはダニが増殖してアレルギーの原因となる事があります。それを嫌ってフローリングにリフォームする方もいらっしゃいます。ただ、カーペット特有の温かみや質感を好まれる方もいらっしゃるので、耐用年数を目安にメンテナンスしてはいかがでしょうか。

ビニールクロス、外壁塗装、ガス給湯器、水栓

10~15年。余裕のある期間ですから、前もって費用を確保しておきましょう。外壁塗装などでは結構な金額になるので、メンテナンス時に慌てないようにしたいものですね。

ビニールクロス

内装に使われるビニールクロスもいずれは剥がれてきたり、真っ黒になってしまい、見た目的に残念な感じになってきます。室内でタバコを吸う場合にはヤニで変色しベトベトしてきます。

外壁塗装

外壁塗装は家全体を保護する役割があるので、とりわけメンテナンスが重要とされます。劣化した状態で放置すると雨漏りの原因となるかもしれませんし、表面に現れなくても建物内部に入り込んだ水が内部を傷め、知らぬ間に建物の寿命を短縮、そして耐震性などを低下させてしまいます。雨漏りというと、屋根や屋上が原因と思われる方が多いかもしれません。でも実際には外壁からの雨の浸入によって生じる事もあります。壁のクラック(ヒビ割れ)、壁への接続部分(例えば庇を壁に埋め込んだ部分、ベランダの鉄骨を壁に差し込んだ部分)などから雨漏りするケースをこれまで度々見てきました。建物の内部は水の浸入を想定していません。そのため入り込んできた水から保護されるような処置は施されていないのです。ですから、考え方として「建物内部に水を入れてはいけない」と思っておいて下さい。極端な言い方をすれば内部水が入った瞬間から建物の強度が下がると言う事です。建物の強度は木造なら木、RC(鉄筋コンクリート)造なら鉄の強度に依存します。それらが傷んでもろくなれば、建物がもろくなるのも創造できますね。そうならないように内部を自ら守るのが外壁塗装なのだと考えてください。マンションやビルについてはタイル貼りのものが多数です。タイルのメンテナンスもほぼ外壁塗装の周期と同じです。タイルや目地のヒビ、躯体の(タイルの内側の壁)のヒビそれらが内部に入ると鉄筋が錆びてしまい、強度が低下します。タイルが浮いて落下する事もあります。そうした事のないようしっかりと下地補修をしてしかるべきメンテナンスが必要となります。

ガス給湯器

使用頻度や用い方によって耐用年数に差が出ます。7~8年で交換する事もあれば、15年経ってもまだ十分使用できることもあります。給湯用の蛇口などをひねって水を流すと交換時期を早めてしまうと言われます。給湯の管にお湯を流す事は問題ないのですが、給湯器が動かない状態でお湯ではなく水が流れると給湯用の管が錆びてしまっていずれ交換が必要になるようです。

水栓

水栓が劣化し、いろいろな場所から水がじわ~~と染み出すような事が起こります。水栓単体を交換するよりはキッチンの交換とセットで行うことが多いでしょうか。

屋根、屋上リフォーム

12~16年。屋根や屋上は建物のうち最も過酷な環境にあるとされます。遮るもののないところにさらされていて、身を挺して建物を守っているようなものです。長年リフォームに携わっていると、屋根や屋上ほど傷みやすく、にもかかわらず見えにくいために放置されやすい箇所はないとつくづく思わされます。屋根が大きく張り出し、躯体から大きく外側に飛び出しているお宅では、外壁が屋根によって有効に守られ、とても状態が良いものです。反対に屋根がそれほど張り出していないと、外壁は雨や日差しの影響を受け、劣化が進んでいます。「風雨にさらされると劣化する」事を体感します。それだけに、風雨にさらされ続けているのですから、いくら丈夫な素材を使っていても、耐用年数を超えると傷み具合も相当なものです。屋根・屋上でそれぞれメンテナンス方法は異なりますが、上記期間を迎えたら点検・補修を行うようにしましょう。

キッチン、トイレ、洗面台、バスルーム

15~20年。いわゆる水周りの耐用年数はどれも同程度です。水のトラブルは緊急性を伴う事もありますので、そうならないよう事前に業者による点検、見積をお願いしてみましょう。水周り設備機器の劣化で床下に水が入り込むのはなんとしても避けたいところです。

給排水管

18~22年。給排水管は床下や壁などの中に設置されていて、もしメンテナンスが必要となればそれなりの費用がかかります。なかなか手を出しにくい箇所である分、排水管については5年くらいを目安にして定期的に清掃を行うといいでしょう。排水は時々詰まってしまう事があります。これは家の個性とも言うべきもので、詰まらない所は全然詰まらないし、詰まるところはすぐに詰まるし、運・不運と言える面もあります。ただし、どのお宅でも詰まる可能性がある所で、場合によっては排水が溢れ出て大きな被害が出る事もあるので、できうる限り高圧洗浄などを行う事をお勧めします。排水のつまりは石鹸カスや髪の毛、ボールペンのキャップなど、ほんのちょっとしたものが段々と絡まり、固まって排水管を塞いでしまいます。

外壁・屋根塗装、防水工事、雨仕舞い

前項と被るのですが重要なので住いを長持ちさせる秘訣第五とします。前述した通り建物内部に水が入り込まないようにする事が建物を長持ちさせ、住み慣れたわが家で長く暮らす秘訣となります。日本には古来から「雨仕舞い」という言葉があります。これは「防水」と似ていてしかも異なる発想なのです。防水は水が入り込まないように水をシャットアウトする工事です。一切入り込ませない事が防水の主題です。それに対して雨仕舞いは建物内部に水が入り込まないようにしつつ、多少入り込んでもすぐに外に出てしまうような構造にして、肝心なところまでには達しないようにするより柔軟な発想です。外壁に足場を立てて、家の防水・雨仕舞いについてチェックし、必要なリフォームをする事で、建物の寿命を延ばします。

自主的に修繕積立金

分譲マンションにお住いの方では毎月管理費・修繕積立金を納めているはずです。修繕積立金は将来の修繕に備えて居住者全員でその費用を用意するものです。一戸建てにお住いの方からすると負担が増えて大変と思われるかもしれませんが、ここは見方を変えてみましょう。住いのメンテナンスは時に大きな出費となります。それをいきなり用意するのは簡単ではありません。でももし、毎月決まった金額を積み立てしていたら、そうした出費に困惑する事もないでしょう。修繕積立金はとても理にかなった仕組みです。これを最後第六の秘訣と致しましょう。

毎月1万円を貯金していけば10年後には120万円です。毎月1万円ならちょっと工夫すればどうにかなるものです。でも、120万円をすぐにどうこうするのはとても大変です。自主的に修繕積立金を積んでおけば、そうした心配はなくなりますよね。毎月いくら積み立てるのかは建物の大きさなどにもよるので、1万円を1万5千円にしてみるなど、各自で調整してみましょう。

 

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