物件購入

売主の瑕疵担保責任と宅建業者の瑕疵担保責任

瑕疵担保責任とは売買の目的物に瑕疵(欠陥)があり、それが取引上必要とされる通常の注意をもってしても気付かないものである場合に、売主が買主に対して負う責任の事をいいます。買主は瑕疵があることを知った時から1年以内なら売主に対し損害賠償請求ができ、その瑕疵のために契約の目的を達することができないときは、契約を解除することができます。

瑕疵担保責任というと雨漏りやシロアリなどが想定されます。物件を見た時に「雨漏りしている」という報告を受けていたら、それを補修するためのリフォーム代金を考慮に入れて判断をしていたはずです。予算的に厳しければ購入しなかったでしょうし、リフォーム代金分の値下げ交渉をしていたかもしれません。雨漏りしている家にそのまま住もうと考える人はいないはずです。通常その補修を考えて判断を下そうとしたであろう買主を保護するために、その後生じる(あるいは生じた)損失を補填する責任を売主は負うという事です。その雨漏りがもし建物の重大な部分の欠陥によって生じたもので、補修ができないような深刻なものであったならばその契約自体を白紙撤回する事もできます。

瑕疵担保責任については、目的物の引渡しから5年、または瑕疵を見つけたときから1年以内という期間が定められています。中古物件を購入してから6年目に瑕疵を発見した時は、それから1年以内は責任を追及できると言う事です。ただし、10年以上経ってしまうと瑕疵担保責任は追及できなくなってしまいます。

瑕疵担保責任を軽減する特約

中古物件の売買契約では上記瑕疵担保責任についての特約を結ぶ事があります。瑕疵担保責任を3ヶ月以内あるいは全くなくすなどのものです。ただし、売主が事実を隠していたような場合にはこうした特約は成立しません。まずここで確認しておかなければならないのは、売主は買主に対して知っている事実を告げなければならないという事です。これを売主の告知義務と言いますが、不利な事実を隠したい気持ちはわからないでもないのですが、売買契約に当たってはくれぐれもそうした事をしないようお気をつけ下さい。後々とんでもないトラブルが起こるかもしれません。

瑕疵担保責任は上記のように知っている事を洗いざらい話したとしても売主が負わなければならないものです。つまり、売主に過失がなくても負わなければならないため、建築の知識に乏しいかもしれない一般の方にとっては多少酷な責任と言えるかもしれません。とりわけ価格交渉で金額を値下げしたような場合、実務ではその責任を軽減してバランスをとる事があります。そしてそれは法律上も有効とされるのですが、嘘をついている場合にまで有効にするのは公平では無いと言う事なのです。

宅建業法による宅建業者の瑕疵担保責任

宅建業者が売主の場合を特に「自ら売主」と呼び、基本的に一般の買主に不利になるような特約は認められません。プロである宅建業者が、専門知識のない一般の買主を丸め込んで不利な特約を結ぶようなことがあってはいけません。そこで買主保護の見地から宅建業法でそのようなルールが定められています。ただし、宅建業法では期間についての特約のみ認めています。その場合でも最低2年以上の瑕疵担保責任を負う事が定められています。

もしも買主が同じく宅建業者である場合にはお互いプロ同士ということなので、こうしたしばりはなくなります。瑕疵担保責任を負わないという特約も有効となります。

 

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)による売主の瑕疵担保責任

宅建業者が売主の場合により重い責任を負うと言う事は前述しました。平成12年4月に施行された品確法(正式には住宅の品質確保の促進に関する法律)はさらに重い責任を宅建業者に対して課すことになります。つまり、新築建物の基本構造部分(柱や梁の主要な部分など)に瑕疵があった場合、引渡し後10年間は瑕疵担保責任を負うというものです。2年から10年に期間が伸びたのはより一層買主を保護し、不動産取引をより安心なものにしようと言う配慮からなのでしょう。重大な欠陥が2年間で見つからない可能性もあるので、より長期に買主に対して責任を負わせることで、新築一戸建て等の買主を保護しようということなのです。

品確法による瑕疵担保責任の対象

  1. 構造耐力上主要な部分・・・柱、梁、耐力壁、基礎、地盤、土台等の構造躯体
  2. 雨水の浸入を防止する部分・・・外壁や屋根の仕上、下地、開口部等

住宅瑕疵担保履行法

この品確法の施行によって10年間という長期に渡り売主である宅建業者は責任を負う事になりました。ところで、その10年間の間に売主が倒産などで無くなってしまったらどうなるでしょう?法律上は保護されるべき買主も相手がいなければ泣き寝入りしなければなりません。結果、損害をもろに受ける買主をどうにかして保護しなければならなくなりました。そこで平成21年10月1日「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(略して「住宅瑕疵担保履行法」)」が施行され、宅建業者は瑕疵担保責任保険への加入若しくは供託が義務付けられました。

新築一戸建ての販売図面に「瑕疵担保責任保険加入」などの記載が見られるのがまさにこれで、こうした保険に加入するか、あるいは一定金額以上の供託をするか、いずれかの手続きが必要となったのです。

瑕疵担保責任保険

瑕疵担保責任保険は修補などにかかる費用を事業者が存続している場合にはその事業社に対して、万一その事業社が存在しない時は住宅購入者に対して保険金として支払います。制度的な保険ですから、その加入のための基準も設けられています。

まずこうした保険の申し込み先は国土交通大臣が指定した「住宅瑕疵担保責任保険法人」となります。この保険法人がしっかりと基準どおりに建築されているのかをチェックします。

  1. 現地調査
  2. 保険法人より提供している「設計施工基準」に適合するよう設計
  3. 建設業法の定めにより、各保険法人の保険内容に相当する瑕疵担保責任を定めて請負契約
  4. 確認申請
  5. 確認通知
  6. 利用する保険法人に対して保険契約の申込
  7. 各保険法人の「設計施工基準」に適合するように施工
  8. 計2回の現場検査(1回目:基礎配筋工事完了時、2回目:屋根工事完了から内装下地張り直前の工事完了時)
  9. 保険証券発行
  10. 引渡し(購入者に保険付保証明書を渡す)

瑕疵担保責任保険に加入する事で購入者保護が図られると同時に、基準に沿って建築されているのかもチェックしているというのがミソですね。万一の時に高額な保険金を支払わなければならない指定保険法人がチェックしているのですから安心に繋がるというものです。

尚、品確法では住宅性能表示制度も規定しています。詳細については「住宅性能表示制度」をご覧下さい。

 

 

 

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